酒井忠次(2/2)徳川四天王の筆頭

酒井忠次

酒井忠次

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人物記
名前
酒井忠次(1527年〜1596年)
出生地
愛知県
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岡崎城

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吉田城

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長篠城

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関係する事件

愛槍は通称「甕通槍」(かめどおしやり)です。合戦中、追い詰めた敵が水がめをかぶって隠れ、酒井忠次はその水がめごと敵を貫いた、という酒井家の言い伝えから「甕通槍」と呼ばれるようになったそうです。

甕通槍は現存しており、山形県鶴岡市の致道博物館に収蔵されています。室町時代、「山城国」(現在の京都府南部)で活動した刀工「三条吉弘」の作品で、細めの刀身をしています。

忠次の愛用品は槍だけではありません。愛刀「猪切」(いのししぎり)も現存しています。これは、徳川家康と狩りに出かけた際に猪を切ったことを機に、刀の柄の部分に「猪切」と金色で彫り入れたとされています。これは金象嵌(きんぞうがん)と呼ばれます。

井田城(いだじょう)

井田城は酒井家の居城です。酒井忠次の出生地でもあります。築城については、いつ、誰によってつくられたのかは不明ですが、徳川家康の祖先にあたる松平親忠(まつだいらちかただ)などが、井田城の周辺で加茂郡の土豪と争った「井田野合戦」の話が残っています。なんと100年近くも争いが続き、勝ち抜いた松平家はやがて天下を統一する徳川家康を輩出したことから、徳川の泰平の世につながっていくのです。

井田城の遺構は残念ながら現存していません。跡地は現在、城山公園として整備されており、平野を一望できる丘の上にあります。当時は見晴らしがよかったことが伺える立地です。

岡崎城(おかざきじょう)

岡崎城は、徳川家康が生まれた城であり、若かりし頃の家康にとって重要な城です。1452年(享徳元年)あるいは1456年(亨徳4年)に三河守護代であった西郷頼嗣(さいごうよりつぐ)によって明大寺あたりに築城されました。

その後、松平家の居城となり1531年(享禄4年)徳川家康の祖父・松平清康(まつだいらきよやす)が現在の位置に移しました。

徳川家康が今川家の人質として不在の間、酒井忠次をはじめとする三河武士団が留守を預かり、徳川家康の帰還後、岡崎城は重要な居城として現代まで伝わります。

岡崎城は、当時のままの建物は現存していません。1959年(昭和34年)に天守閣と井戸櫓、附櫓が鉄筋コンクリートで復元。1993年(平成5年)には大手門も再建されています。岡崎城跡を中心に整備された岡崎公園は、広大な敷地に史跡が多く残っており、歴史を今に伝えています。市民の憩いの場としても愛されています。

福谷城(うきがいじょう)

福谷城は、15世紀後半に原田右衛門太郎氏重(はらだうえもんたろううじしげ)によって築城されたと伝わっています。本丸を中心に5つの廓を持つ平山城で、1555年(天文24年)に当時今川家に仕えていた酒井忠次が中心となり、織田家の攻撃を防ぎました。

今川家滅亡後、織田家と松平家が同盟関係となったことで、福谷城は不要となり廃城されます。今では福谷城址は公園となっていて、建物自体は現存していません。

吉田城(よしだじょう)

吉田城は、1496年(明応5年)あるいは1505年(永正2年)に牧野古白(まきのこはく)により築城された「今橋城」が前身です。築城以来、牧野家、今川家、武田家、松平家が争奪戦を繰り広げ、争いの舞台となりました。1564年(永禄7年)、徳川家康が三河を平定。酒井忠次が吉田城主となります。酒井忠次は吉田城に新たな堀を築造しています。

吉田城は明治時代まで存続しました。吉田城の建物は現存していませんが、復元された鉄魯が吉田城のシンボルとなっています。

長篠城(ながしのじょう)

長篠城址は国指定史跡です。別名「扇城」「末広城」とも呼ばれる長篠城は、1508年(永正5年)、菅沼元成(すがぬまもとなり)によって豊川と宇連川の合流場所に築城されました。長篠城は断崖絶壁に立ち、2つの川を堀として利用する、まさに天然の要塞としてそびえ立ちます。交通の要衝でもあり、武田家と徳川家による争奪戦が繰り広げられてきた場所です。

1575年(大正3年)の長篠・設楽原の戦いの舞台となった長篠城ですが、酒井忠次は勇猛果敢に戦い、長篠城を救いました。

1576年(天正4年)、戦いで傷つき損壊した長篠城に代わり、城主・奥平信昌(おくだいらのぶまさ)は新しく「新城城」(しんしろじょう)を築城。居城が移され、長篠城は廃城となりました。

長篠城の遺構として、曲輪の跡や空堀と土塁などが残っている場所があります。城址には「長篠城址史跡保存館」が建ち、長篠の攻防に関する資料を数多く展示されています。長篠城を巡る戦いをより詳しく知ることができます。

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葉月 智世
執筆者 (ライター) 学生時代から歴史や地理が好きで、史跡や寺社仏閣巡りを楽しみ、古文書などを調べてきました。特に日本史ででは中世、世界史ではヨーロッパ史に強く、一次資料などの資料はもちろん、エンタメ歴史小説まで幅広く読んでいます。 好きな武将や城は多すぎてなかなか挙げられませんが、特に松永久秀・明智光秀、城であれば彦根城・伏見城が好き。武将の人生や城の歴史について話し始めると止まらない一面もあります。
日本の城フォトコンテスト.03