歩く楽しみ天守がなくても、城は面白い。城跡を歩く楽しみ方
- [執筆者] 日本の旅侍編集部(メディア)
- 城跡を歩く楽しみ方とは
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- 天守の有無にかかわらず、石垣や地形、森、周囲の町並みを自分の足でたどり、城の魅力に触れる楽しみ方である。
- 石垣の高さや折れ、門や櫓があった場所を眺めることで、城の区画や広がりを感じられる。
- 坂道や曲輪、土塁、堀などを案内図と見比べると、城の高低差や地形を利用したつくりを理解する手がかりになる。
- 日本三大山城の岩村城・高取城・備中松山城では、石垣や森、地形、建物の異なる景観を楽しめる。
- 城下町の武家屋敷や商家、寺町へ足を延ばすことで、城と人々の暮らしのつながりに目を向けられる。
- 歩いて気づいたことを写真やメモに残すと、城や町の歴史を知り、再び訪れるきっかけになる。
天守がなくても、城跡には歩くことで気づける魅力があります。石垣の高さや地形の起伏、森の景色を味わい、日本三大山城の岩村城・高取城・備中松山城の見どころを紹介。武家屋敷や商家、寺町などの城下町にも足を延ばし、城のつくりや人々の暮らしへの関心を広げる歩き方を提案します。


木々の間に続く石垣、坂道の先に開ける平らな場所、麓に残る古い町並み。城跡には、自分の足で歩くことで気づける見どころがあります。
石垣を見上げ、地形の起伏を感じ、森の中で立ち止まる。さらに城下町へ足を延ばすと、城とともに営まれてきた人々の暮らしにも目が向きます。天守の有無にかかわらず、その土地に残るものをたどることが、城活の「歩く楽しみ」を広げてくれます。
石垣の高さや折れに、足を止める
城跡を歩いていて石垣が現れたら、少し離れて全体を眺めてみましょう。どのくらいの高さがあり、どちらへ続き、どこで折れているのか。目の前の石の壁をたどると、城の区画や広がりが見えてきます。
近くでは一つひとつの石の大きさや形に、離れた場所からは石垣の傾きや角の形に目が向きます。道を進むにつれて、低く見えていた石垣が高くそびえる姿に変わることもあります。
建物が残っていない場所では、案内板や復元図と照らし合わせるのも楽しみ方の一つです。門があった位置や、櫓が建っていた場所を知ると、石垣の間にある空間にも関心が向きます。
「ここを通って城の奥へ進んだのだろうか」「この上からは何が見えたのだろうか」。現地の解説を手がかりに考えながら歩くと、一つの石垣の前でも足を止める理由が増えていきます。
坂道や平らな場所から、城の形をたどる
山城を歩くと、坂を上った先に平らな場所があったり、その先にまた一段高い場所が現れたりします。案内図にある「曲輪(くるわ)」は、山城では土地を削るなどして平らに整えた区画です。尾根を断ち切るように掘った「堀切(ほりきり)」も、城を形づくる施設の一つです。
図面で見ると小さな段差でも、現地では見上げるほどの高さがある。近くに見える場所へ行くにも、道を回り込んで進む必要がある。実際に歩くと、平面の地図だけではつかみにくい高低差や距離を感じられます。
石垣が目立たない城跡でも、土を盛った土塁や堀の跡に目を向けると、土地に手を加えた痕跡を探せます。案内板の位置と目の前の地形を見比べながら、どこが城の内側だったのかを確かめてみましょう。
すべての名称を覚えてから訪れる必要はありません。「ここだけ平らになっている」「道の脇が深く落ち込んでいる」。そんな気づきから、城のつくりを知る楽しみが始まります。
森の中で、歩く速度を変えてみる
木々に囲まれた城跡では、少しゆっくり歩くと、石や地面だけでなく、周囲の音や光にも気づきます。葉の間を抜ける風、足元の落ち葉の音、木漏れ日の差す石段。今の城跡を包む自然も、歩いて味わえる魅力です。
森の中で石垣が姿を現す場所と、木々が途切れて空が広く見える場所では、景色の印象が変わります。見晴らしのよい場所に出たら、麓の町や周囲の山並みにも目を向けてみましょう。自分が歩いてきた高さや、城が置かれた場所を実感できます。
春の若葉や秋の落ち葉など、足元や頭上の変化も城歩きに季節を添えます。同じ道でも、訪れる時期によって気になる景色が変わることがあります。
山道を歩く日は、足元に合う靴や飲み物を用意し、帰りの時間も含めて歩く範囲を決めておくと、途中の景色を眺める余裕を持てます。


岩村城・高取城・備中松山城で、山城を歩き比べる
山城を歩く楽しさに触れるなら、日本三大山城と呼ばれる岩村城(岐阜県)、高取城(奈良県)、備中松山城(岡山県)には、それぞれ異なる見どころがあります。
岩村城では、本丸近くの「六段壁」が印象的です。段を重ねた石垣を見上げると、山の上に築かれた城の厚みを感じられます。石垣の連なりを眺めながら歩き、案内図で自分の位置を確かめると、城全体の広がりにも目が向きます。
高取城では、森と石垣が重なる景観を楽しめます。本丸周辺だけでなく、登城の道中にも石垣が残り、木々の間から城の姿が少しずつ見えてきます。石垣に囲まれた空間の広さや、見上げたときの高さにも足を止めたくなります。
備中松山城には現存天守があり、山の地形に石垣や建物が重なる姿を見られます。天守へ向かう途中にも目を向けると、建物がどのような場所に立ち、周囲にどんな空間が続くのかを感じられます。
同じ山城でも、石垣の見え方や道の起伏、見晴らしはそれぞれ異なります。一つの城を歩いた経験があると、次の城で気づく違いも増えていきます。



武家屋敷・商家・寺町で、歴史ある町の表情を見比べる
城跡を歩く楽しみは、歴史ある町並みへと続いていきます。武家屋敷の土塀、商家の格子、寺町の山門。建物の形や通りの雰囲気に目を向けると、そこに暮らした人々の営みが見えてきます。
石川県金沢市の長町武家屋敷跡では、土塀や石畳の小路、大野庄用水がつくる風景を楽しめます。屋敷の門構えや塀越しにのぞく木々を眺め、水の流れる音に耳を澄ませる。ゆっくり歩くほどに、武家の暮らしを伝える町並みの落ち着きが感じられます。
滋賀県近江八幡市の商家町では、新町通りに残る近江商人の屋敷や、八幡堀沿いの白壁の土蔵に目を向けてみましょう。通りから堀沿いへ歩けば、家々の正面を眺める景色から、水辺に建物が並ぶ景色へと変わります。商いと水運のつながりを想像するのも、この町を歩く楽しみの一つです。
東京都台東区の谷中は、江戸時代から寺町として栄えた地域です。細い路地をたどると、住宅の間に寺院の山門や塀が現れます。寺の由緒に目を通したり、路地の先に見える屋根を眺めたり。参拝の合間に町を歩くと、寺院と人々の暮らしが近い距離にあることを感じられます。
武家が暮らした町、商人が行き交った町、祈りが息づく町。同じ歴史ある町並みでも、歩いて感じる魅力はそれぞれです。城跡とあわせて訪ねる町を少しずつ増やしてみると、城活の楽しみも広がっていきます。



歩いた道を振り返ると、知りたいことが増えていく
城跡と城下町を歩いたあとに、もう一度案内図を開いてみると、訪れる前とは違う見え方になることがあります。長く感じた坂道、思いがけず広かった曲輪、城へ向かって続く町の通り。紙の上の線や区画に、自分が歩いた感覚が重なります。
印象に残った石垣や町並みを写真に残し、気になったことを短く書き添えておくのもよい方法です。「なぜここに門があったのか」「この通りにはどんな人が暮らしていたのか」。現地で生まれた疑問をあとから調べると、次に歩くときの見どころが増えます。
初めての訪問では城の中心部を歩き、次は麓の町をゆっくり巡る。前回気になった石垣を別の位置から眺める。訪れるたびに少しずつ歩く範囲を変えることで、同じ城にも新たな楽しみが生まれます。
- 執筆者 日本の旅侍編集部(メディア) 日本の旅侍は知的旅〜オトナの城旅を城写真と共に伝える情報メディアです。日本全国のお城を都道府県別にご紹介。国宝天守・現存天守・復元天守・櫓・石垣・お堀などお城の様々な要素を写真共に伝えます。お城の歴史コラムもあり。 公式HP・SNSはこちら