玖島城長崎県大村市

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冬の玖島城1 冬の玖島城2 冬の玖島城3 冬の玖島城4 冬の玖島城5 冬の玖島城6 冬の玖島城7
玖島城DATA
別称 大村城、玖島城
築城 1599年
住所 長崎県大村市玖島1丁目(大村公園内)
玖島城への交通アクセス
JR「大村」駅 バス約10分

HISTORY 玖島城について

玖島城と関連する事件を読む

慶長の役秀吉の死で終わった朝鮮出兵・後編
天下統一後に中国(当時の明)を征服するために李氏朝鮮(現北朝鮮・韓国)に出兵した豊臣秀吉。天正20年(1592年)から文禄2年(1593年)までの「文禄の役」の後、再び朝鮮を攻めたのが慶長2年(159

玖島城を藩庁とする、大村藩の歴史

五瓜に唐花

大村家の家紋「五瓜に唐花」

大村藩DATA
藩庁 玖島城
旧地域 肥前国彼杵郡
石高 2万7000石
譜代・外様 外様
主な藩主 大村家
推定人口 12万人(明治元年)

玖島城、桜や花菖蒲に囲まれた城

長崎県大村市にある玖島城(くしまじょう)は、大村氏が築いた平山城です。現在は大村公園として整備されており、桜や花菖蒲が美しい県内有数の花の名所として知られており、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。

玖島城
玖島城の歴史
玖島城のある大村は鎌倉時代から大村氏が支配してきました。戦国時代になると豊臣秀吉が天正14年(1586年)7月から同15年(1587年)4月にかけて九州征伐を実施しますが、その際、当時の領主でキリシタン大名としても知られる大村純忠は秀吉に従い本領を安堵されます。ただし、純忠は病床にあったため、嫡子の大村喜前が秀吉軍に入りました。
純忠の跡を継いだ喜前は慶長3年(1598年)に豊臣秀吉が亡くなった後、政情が不安定になったことを受けて玖島城を築城し始めます。それまでは三城城(現長崎県大村市三城町)が本拠地でしたが、三方が海に囲まれており、守りやすく攻めにくい海域をつくるのに最適だったことから玖島の地に新たに城を築城したのです。
実は喜前は文禄・慶長の役に参加しており、現地で城(倭城)の築城にも携わりました。その際築いた城を参考に玖島城を築城したのです。慶長4年(1599年)に完成した玖島城は以後、大村藩の城として明治維新まで存続します。
城は第2代藩主・大村純頼のときに大改修が行われました。改修の際はもともと北側にあった大手口を南側に移し、大手門周辺に扇の勾配を持つ石垣を築いています。ちなみにこの際、喜前と親しかった加藤清正から改修の指導を受けたと言われています。
改修により、城は本丸、二ノ丸、三ノ丸からなり、6つの櫓に堀や空堀を持つ城へと生まれ変わりました。また、珍しいことに海中4mの深さにも捨堀を巡らし、敵が簡単に近づけないよう対処したそうです。
以降、玖島城は大規模な改修などはなく、戦禍に見舞われることもなく存続し続けます。しかし明治維新後には廃城が決まり、建物は破却されてしまいました。
その後、明治17年(1871年)には本丸跡に大村神社が建立されます。また、玖島城址の一帯は「大村公園」として整備されています。平成4年(1992年)には二の丸の石垣上に板敷櫓が再建されました。
玖島城の見どころ①扇の勾配の石垣と板敷櫓
玖島城で有名なのが、二の丸の石垣です。打込ハギで扇の勾配の美しい曲線が特徴で、熊本城を思わせる曲線美は、「加藤清正の助言があって作られた」という話も納得です。
平成4年に再建された板敷櫓は大村公園のシンボル的存在です。木造2層2階本瓦葺きの櫓ですが、実は現在の場所には発掘調査等でも櫓があった形跡が出てこなかったのだとか。このため「再建」ではないのではという説もあります。期間限定ですが内部に入れる時期があるので要チェックです。
このほか、玖島城にはさまざまな場所に石垣が残っています。本丸北側の搦手門周辺には築城された当時の古い石垣が残っています。穴門跡には監視用の間口がついた天井が特徴的です。本丸には石垣を使い、桝形虎口をはじめとした3カ所の虎口が設けてあります。
玖島城の見どころ1 玖島城の見どころ2 玖島城の見どころ3
玖島城の見どころ②大村藩お船蔵跡
玖島城の三ノ丸には藩主の御座船などの船を格納していた「お船蔵」跡が残っています。元禄年間(1688年~1703年)の初め、4代藩主・大村純長の時にこの地に移築されました。海に囲まれた玖島城にとって、海上輸送は重要な手段でした。藩主が乗る御座船はもちろん、物資や兵を運ぶための船もお船蔵に格納されていました。
船倉には3本のドックがあり、屋根の礎石や石垣が残されています。ちなみに、このほか玖島城には米を積み下ろすための新蔵波止があり、現在も海に突き出た石垣が残っています。
玖島城の見どころ③大村神社
本丸跡に建つ大村神社は文化2年(1805年)10代藩主・大村純昌が大村氏の祖と崇める藤原純友とその親族を祀るための御霊宮を池田山に建立したのが始まりとされています。明治維新により玖島城が廃城となり民間に払い下げられた際、大村城下町の旧藩士たちが発起人となり、明治17年(1884年)に創建されました。後に大村氏の歴代藩主を合祀しています。
神社の境内には国の天然記念物に指定されたオオムラザクラや長崎県の天然記念物のクシマザクラの原木があり、春は美しい花を咲かせます。なかでもオオムラザクラは花弁が60枚以上、多ければ200枚にも及ぶ桜で、見ごたえがありますよ。
玖島城の見どころ4 玖島城の見どころ5 玖島城の見どころ6
玖島城のフォトスポット
玖島城跡に整備された大村公園は桜の名所として知られており、春は総数2000本の桜が見ごろを迎えます。5月下旬には約30万本の花菖蒲が公園内を紫や白に染め上げます。花々と板敷櫓や石垣のセットの写真はぜひ撮影したいところです。
このほか、新蔵波止の夕日もおすすめ。この辺りはよく白鳥が訪れるので、夕日で赤く染まる大村湾と鳥のコントラストも美しいですよ。
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栗本 奈央子
執筆者 栗本 奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。