古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)Vol.1北の京都、静寂のなかに歴史が息づく
- [執筆者] 日本の旅侍編集部(運営者)
1994年に世界遺産登録された「古都京都の文化財」。
京都市・宇治市・滋賀県大津市にまたがる17の資産は、それぞれが日本の文化と精神性を映し出す場所でもあります。
今回の知的旅では、その中から【北エリア】──高山寺、仁和寺、龍安寺、金閣寺、上賀茂神社──を訪ね、京都が持つ奥深い魅力を味わいます。

1日で5つの世界遺産をめぐる、静けさの旅へ
北エリアには、禅と神道、宮廷文化と山の暮らしが交差するスポットが点在しています。
京都駅から出発し、バスと徒歩で丁寧に巡るモデルルートをご紹介します。
- モデルプラン(1日)
- 9:00 京都駅 出発(バス)
10:00 高山寺:鳥獣戯画と山の空気
11:30 仁和寺:格式と庭園の美しさ
12:30 龍安寺:石庭と静寂
13:30 昼食|西源院(湯豆腐付精進料理)
14:30 金閣寺:黄金の美に息をのむ
16:00 上賀茂神社:清らかな空気と神域の静けさ


各スポット紹介
- 高山寺(こうさんじ)
- 山の静寂に、知の遊び心が宿る
京都市右京区の栂尾にある山寺。国宝「鳥獣戯画」のお寺としても知られています。
鎌倉時代、明恵上人によって開かれたこの寺には、仏教の教えと自然への畏敬が深く息づいています。
参道に響く鳥の声、苔むす石段。日常の喧騒を忘れ、呼吸が深くなる場所です。




- 仁和寺(にんなじ)
- 格式高い門跡寺院と、王朝文化の記憶
888年、宇多天皇の発願で創建された由緒ある寺。
かつては皇族が住職を務めた「門跡寺院」であり、内部には御殿や庭園が整えられています。
特に「御室桜」で有名ですが、初夏の青もみじ、冬の雪景色も格別。
五重塔の美しさも印象的です。




- 龍安寺(りょうあんじ)
- 言葉よりも、感じる庭──石庭が語る“空白の美”
“わび・さび”の極致とも言われる方丈庭園。
白砂と15の石だけで構成された石庭は、見る人によってまったく異なる印象を与えます。
説明を超えた静けさが、心を整えてくれる──そんな場所です。
観光地でありながらも、訪れる人の足音さえ響くような静寂が漂います。




- 西源院(さいげんいん)
- 龍安寺の境内に佇む、精進料理の老舗
龍安寺の敷地内にある西源院では、湯豆腐を中心とした精進料理を楽しめます。
窓からは庭園の緑がのぞき、心も身体も整うようなひととき。
季節ごとの彩りが映える料理と、優しい味付けが、旅の途中の癒しとなります。




- 金閣寺(きんかくじ)
- 黄金の輝きに込められた、無常と永遠
正式名称は「鹿苑寺」。室町幕府・足利義満の邸宅跡を禅寺として再構成したものです。
池に映る黄金の楼閣、松の緑とのコントラスト──絵のような風景ですが、その美しさの裏には“滅びと再生”という仏教の世界観も流れています。
四季折々の景色に染まる金閣寺は、まさに「生きた文化財」です。




- 上賀茂神社(かみがもじんじゃ)
- 水と風が清らかに流れる、神聖なる杜
京都最古級の神社であり、賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)を祀る上賀茂神社。
境内には清流「ならの小川」が流れ、風に揺れる葵の葉が涼しげに響きます。
平安時代の風景を今に伝える神社で、雅な美と厳かな空気を感じられます。




おわりに──知るほどに深まる、京都の北
同じ京都でも、東山の華やかさとは違う、北エリアの“静”の魅力。
高山寺の山の空気、仁和寺の優雅な空間、龍安寺の禅、金閣寺の輝き、上賀茂神社の神聖。
それぞれが異なる時間と意味を持ち、旅の終わりには、京都という都市の奥行きが静かに胸に残ります。
「古都京都の文化財」知的旅、次回は南エリアへ。
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