勝連城沖縄県うるま市

勝連城DATA
築城 14世紀初頭
住所 沖縄県うるま市勝連南風原3807-2
電話番号 098-978-2033
開館時間 9時~18時
休館日 年中無休
登閣料 大人600円、小人400円

世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」構成要素の一つ。

勝連城への交通アクセス
那覇空港自動車道路から沖縄自動車道へ合流し「沖縄北IC」。

勝連城跡、阿麻和利が住んだ難攻不落の世界遺産

沖縄県中部のうるま市にある「勝連城(かつれんぐすく)跡」は、首里城などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界文化遺産に登録されたグスク(城)です。勝連を反映させ、琉球王朝に反旗を翻した城主・阿麻和利(あまわり)の居城としても知られています。

勝連城
沖縄の「グスク」とは
沖縄の「グスク」は首里「城」のように「城」と表記されますが、正確には北海道や本州、四国・九州の城とは異なる存在です。グスクは丘陵地などに作られた野積みの石垣を持つ石造りの城塞であると同時に、いわゆる「御嶽」と呼ばれる拝所を備えた聖域でした。なお、沖縄本島以外の島では「スク」「シュク」など別の呼び方をされています。
グスクの起源については集落説、聖域説、地元の実力者の館説などさまざまです。主に沖縄本島で北山、中山、山南の三勢力が争っていた「三山鼎立時代」だった14世紀に作られており、このころ城塞としての役割を果たすようになったと考えられています。
勝連城の歴史
勝連城は発掘調査などから先史時代後期末から古代人が生活しており、13世紀前後から木柵の砦等が築かれ、徐々に城塞としての体裁を整えていったと推察されています。発掘調査は現在も続いており、今後の発見が待たれるところです。
口伝によれば、勝連城の初代城主は英祖王統2代・大成王の五男で、その後も勝連按司は4代続き、5代目は跡継ぎがいなかったため養子縁組を実施。このため6代目は伊波按司となりました。その後は詳細は不明ですがさまざまな地方の按司(指導者・有力者)が城主として入ります。その10代目の城主が、地元の英雄として名高い阿麻和利です。
阿麻和利は酒におぼれて圧制を敷いていた9代目をクーデターで殺害し、代わって城主となりました。その後、海外貿易を進めて力を蓄えていきます。もともと勝連城は奄美諸島や本土、中国などと貿易をしていましたが、阿麻和利の時代に最盛期を迎えました。琉球王国時代の歌集『おもろさうし』では阿麻和利をたたえる歌が残されているほか、勝連城を「大和の鎌倉」にたとえています。同地の発掘調査でも当時の瓦や陶磁器などが出土しています。
阿麻和利を警戒した琉球王国第一尚氏王統の第6代国王・尚泰久(しょうたいきゅう)は、娘の百度踏揚(ももとふみあがり)を妻として送って懐柔しようとします。ところが阿麻和利は勢力を拡大し続けたため、琉球王国の忠臣・護佐丸が中城城主となり、阿麻和利をけん制します。
そんななか、1458年に「護佐丸・阿麻和利の乱」が起こります。これは阿麻和利が尚泰久に「護佐丸が謀反を企てている」と讒言し、尚泰久が阿麻和利に護佐丸追討を命じたもの。護佐丸は抵抗せずに自刃しました。その後、阿麻和利は尚泰久を討とうと首里城を攻めますが、勝連城を脱出した百度踏揚が首里城に乱を知らせたことで反撃にあいます。激戦の末阿麻和利は亡くなり勝連城は陥落しました。なお、この乱は当時の史料がないことから詳細がはっきりわかっていません。
勝連城は廃城となりましたが、17世紀頃まで周辺の住民が何らかの形で利用していたようです。後に城壁の石が工事のために持ち去られるなどしてきましたが、昭和40年(1965年)から発掘調査が行われ、昭和47年(1972年)に国の史跡に指定。2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界文化遺産に登録されました。
勝連城の見どころ① 棚田状の曲輪と石垣
勝連城は標高60mから98mの丘陵の勾配に沿って築城されており、曲輪は北西の「一の曲輪」から「四の曲輪」へと階段状に置かれ、南東側の「東の曲輪」で再び高くなっています。琉球石灰岩の石垣が緩やかな曲線を描きながら連なる姿は美しく、その姿は中国との貿易等で使われていた「進貢船」に例えられています。
一番標高が高い一の曲輪からの360度のパノラマは見事の一言。青い海の向こうには知念半島や久高島を見ることができるほか、護佐丸の居城であった中城城跡も一望できます。また、二の曲輪の様子も見学でき、按司の屋敷跡の遺構が分かりやすく確認できます。
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勝連城の見どころ②城の各地にある御嶽
勝連城にはさまざまな曲輪に拝所を備えた聖域「御嶽」(ウタキ)が置かれています。一の曲輪の「玉ノウミウヂ御嶽」は大きな岩がご神体となっている御嶽。このほか二の曲輪や三の曲輪にも御嶽が残されています。
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勝連城の見どころ③あまわりパーク
勝連城跡に隣接する複合施設「あまわりパーク」内には歴史文化施設があり、勝連城の発掘調査による出土品や、勝連城をはじめとしたうるま市の歴史を学ぶことができます。ライブシアターでは阿麻和利の物語を演じるパフォーマンスが鑑賞でき、目玉の一つとなっています。
勝連城のフォトスポット
一の曲輪は海や勝連城跡を臨めるフォトスポットとして有名ですが、勝連城を撮影するなら東の曲輪からがおすすめ。うねる石垣の様子がはっきりとわかり、城の全貌をとらえることができます。四の曲輪から見上げるように石垣を撮るのも美しいですよ。
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栗本 奈央子
執筆者 栗本 奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。