中城城沖縄県中頭郡

  • 護佐丸の居城として知られる琉球王国時代のグスク
  • 六つの郭と曲線的な城壁が残る世界遺産の城跡
  • 勝連城の阿麻和利と対峙した琉球史の重要舞台

中城城とは、沖縄県中頭郡中城村・北中城村にまたがる琉球王国時代のグスクである。沖縄本島中部の丘陵上に築かれ、中城湾を見下ろす要地に位置する。15世紀中期には、勝連城主・阿麻和利を牽制するため、護佐丸が座喜味城から移ってきて整備したとされる。城は南の郭、西の郭、一の郭、二の郭、三の郭、北の郭など六つの郭からなり、琉球石灰岩の城壁が地形に沿って美しい曲線を描く。1458年の護佐丸・阿麻和利の乱では、阿麻和利の攻撃を受けて護佐丸が自害したと伝わる。現在は世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産として保存されている。

中城城の特長
目的 中城地域の支配拠点、首里王府の東方防衛、勝連城の阿麻和利への備え、祭祀空間
特長 護佐丸、阿麻和利、グスク、世界遺産、琉球石灰岩、曲線的な城壁、六つの郭、アーチ門、御嶽、日本100名城
他の城との違い ・本土の近世城郭ではなく、琉球王国時代のグスクである
・六つの郭を連ねた連郭式の構造を持ち、県内でも城壁がよく残るグスクのひとつである
・勝連城の阿麻和利と対峙した護佐丸の居城として、琉球王国の王権安定化を考えるうえで重要である
中城城の石垣・土塁
石垣 現存・復元整備
土塁 なし
種類 琉球石灰岩の城壁、切石積み、野面積み、布積み、あいかた積み、曲輪、アーチ門、グスク
石材 琉球石灰岩
特長 中城城の城壁は、琉球石灰岩を用いた石積みによって築かれている。城壁は地形を巧みに利用しながら曲線状にめぐり、六つの郭を連ねている。一部に野面積みも見られるが、多くは琉球石灰岩の切石積みで、布積みを主体とする郭と、あいかた積みを主体とする郭がある。城門には石造アーチ門があり、1853年に来琉したペリー艦隊の探検隊も、その築城技術を高く評価したと伝わる。本土城郭の高石垣とは異なり、自然地形、聖域、眺望、郭構成を一体化させたグスクの城壁として見るのが自然である。
中城城DATA
別称 中城城跡、中城グスク
所在地 沖縄県中頭郡中城村・北中城村
築城 14世紀頃に始まると考えられる。15世紀中期に護佐丸が整備
築城者 先中城按司、護佐丸らと伝わる
住所 沖縄県中頭郡中城村字泊1258番地
電話番号 098-935-5719
観覧受付時間 8時30分~17時。5月~9月は18時まで。閉門は受付終了30分後
休場日 年中無休
観覧料 大人500円、中・高校生300円、小学生200円。団体は大人400円、中・高校生200円、小学生100円。小学校就学前は保護者同伴で無料
備考 中城城跡は国指定史跡で、世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産である。日本100名城にも選定されている。史跡位置は中城村字泊1258番地、管理事務所は北中城村字大城503番地にある。城内は石段や坂道があるため、歩きやすい靴での見学が望ましい。
中城城への交通アクセス
那覇空港自動車道路から沖縄自動車道へ合流し「北中城IC」。

HISTORY 中城城について

中城城の歴史
14世紀頃 中城の丘陵上に、先中城按司らによるグスクが築かれ始めたと考えられる
琉球王国時代 中城地域を支配する按司の拠点として、郭や城壁が整備される
1440年頃 護佐丸が座喜味城から中城城へ移り、勝連城の阿麻和利に備えて城を整備したとされる
15世紀中期 護佐丸により一の郭、二の郭、北の郭などが増築されたと伝わる
1458年 護佐丸・阿麻和利の乱が起こり、阿麻和利が中城城を攻撃する
1458年 護佐丸が王府軍には逆らえないとして自害したと伝わる
1458年以降 中城城は王府の直轄となり、のちに王子の居城などとして使われる
1853年 来琉したペリー艦隊の探検隊が中城城を訪れ、石造建築技術を高く評価したと伝わる
1972年 中城城跡が国の史跡に指定される
2000年 世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産として登録される
2006年 日本100名城に選定される

中城城を居城とする、琉球王国の歴史

琉球王国貿易で栄えた
琉球王国とは 琉球王国とは、1429年から1879年まで、現在の沖縄県に存在した王政の王国である。 沖縄本島の南山・北山・中山に分かれていた三山時代を経て、中山王の尚巴志が統一して成立した王国である。
琉球王国DATA
王城 首里城
旧地域 琉球
主な国王 尚氏

中城城、琉球王国を思わせる世界遺産

沖縄県中頭郡中城村にある「中城(なかぐすく)城跡」は首里城や今帰仁城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界文化遺産に登録されたグスク(城)です。沖縄県内のグスクとしてはもっとも保存状態が良く、城壁の美しさには定評があります。

中城城
沖縄の「グスク」とは
沖縄の「グスク」は首里「城」のように「城」と表記されますが、正確には北海道や本州、四国・九州の城とは異なる存在です。グスクは丘陵地などに作られた野積みの石垣を持つ石造りの城塞であると同時に、いわゆる「御嶽」と呼ばれる拝所を備えた聖域でした。なお、沖縄本島以外の島では「スク」「シュク」など別の呼び方をされています。
グスクの起源については集落説、聖域説、地方の実力者の館説などさまざまですが、主に14世紀に作られており、このころ城塞としての役割を果たすようになったと考えられています。14世紀は沖縄本島で北山、中山、山南の三勢力が争っていた「三山鼎立時代」ですから、戦に備える機能を果たすようになったのは当然かもしれません。
中城城の歴史
中城は標高約160mの高台にあり、北東から南西にほぼ一直線に築かれた連郭式のグスクです。南は断崖絶壁、北は急傾斜となっています。城は6つの郭からなり、作られた年代により城壁の石積み方法が異なります。
中城は14世紀後半に先中城按司(さきなかぐすくあじ)が築いたとされています。なお、按司というのは地域の領主・支配者のことです。
中城の主として有名なのが、首里王府の命を受けて中城にやってきた武将・護佐丸(ごさまる)です。護佐丸は中山の尚巴志(のちの第一尚氏王統第2代王)とともに琉球王国の成立(1429年)に貢献しました。その功績が認められ座間味を与えられ、座喜味城を築いて同地を治めました。
ところが勝連城主の阿麻和利が勢力を拡大したため、護佐丸は阿麻和利の牽制と首里城の防衛のために1440年ころ中城に移りました。このとき中城を整備し、北の郭や三の郭を増築しています。
そして1458年、「護佐丸・阿麻和利の乱」が起こります。「護佐丸が謀反を企てている」という阿麻和利の讒言により、琉球国第一尚氏第6代国王の尚泰久は阿麻和利に護佐丸追討を命じます。王に逆らう気がない護佐丸は抵抗せずに自刃しますが、その乱の戦地となったのが中城でした。なお、阿麻和利はその後王を討とうとしますが反撃され滅ぼされてしまいます。この乱は詳細がはっきりわかっておらず、現在もさまざまな説があります。
護佐丸亡き後、中城間切(区域)は王府の直轄地となります。江戸時代には一の郭に番所が置かれたこともありました。再び中城に注目が集まったのは1853年ペリー来航のときです。ペリー艦隊は沖縄にも立ち寄っており、島内探検隊を派遣して視察・測量を実施しました。その際ペリーは中城を「石造建築物は賞讃すべき構造」と称賛しています。
明治以降は小学校や役場などが置かれましたが、移転等により城は無人化。第二次世界大戦の際の被害は軽微で、1950年には「中城公園」が開園し、1955年に琉球政府文化財保護委員会が重要文化財の史跡・名勝に指定しています。1972年に沖縄が日本に復帰すると国指定の史跡とされました。2000年には世界遺産に登録され、今に至ります。
中城城跡の見どころ①美しい石垣
中城城跡の一番の見どころは、美しく張り巡らされた琉球石灰岩の石垣です。中城は「一の郭」「二の郭」「三の郭」「北の郭」「西の郭」「南の郭」の6つの郭がありますが、綺麗な曲線を描いて連なる石垣はうっとりさせられます。なかでも「二の郭」の曲線は優美だと人気です。
6つの郭は建てられた時期が異なるため、石積みの技法も異なります。二の郭は一の郭とともに直方体の石をブロック状に美しく積み上げた「布積み(豆腐積み)」。整然と並んだ石垣と沖縄の青い空は絶景です。
護佐丸時代に増築された三の郭と北の郭は「新城(ミーグスク)」と呼ばれる年代が最も新しいもの。このため石積み方法も多角形の石を組み合わせた「相方積み(亀甲乱積み)」に進化しています。
古い城郭である南の郭は野面積み。このあたりは首里遙拝所や神の島である久高島を拝む久高遙拝所など、8つの拝所を持つ聖地です。
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中城城跡の見どころ②美しいアーチ形の門
中城城跡には数々の門があります。「北の郭」にある裏門はアーチ型の門で、ペリー艦隊も精巧さを絶賛したことで知られています。このほか、「一の郭」と「二の郭」の間にも美しいアーチ形の門がありますよ。
最も奥にある南西方面に向けて立っている「正門(やぐら門)」は両側に布積みの石垣がせり出しているのが特徴。門の近くには、第2次世界大戦のとき日本軍が防空壕を作ろうと工事をした跡が残っています。石垣の構造がしっかりしすぎていたため工事は難航し、結局途中で諦めたようです。
ちなみに中城城跡の料金所は裏門側にあり、正門までは約1㎞歩く必要があります。正門から見学したい場合は無料の送迎カートを利用するのがおすすめです。
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中城城のフォトスポット
美しい石垣が連なる「二の郭」は絶好のフォトスポット。また、「一の郭」には展望台が設置されており、中城湾を一望できますよ。
なお、中城城跡では星空や月を楽しむイベントやナイトウォークイベントなどが定期的に開催されています。夜の特別な姿を楽しみたい場合は申し込んでおきましょう。
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栗本 奈央子
執筆者 栗本 奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。