知覧城跡鹿児島県南九州市

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知覧城跡DATA
築城 12世紀末?
住所 鹿児島県南九州市知覧町永里
知覧城跡への交通アクセス
JR指宿枕崎線「松ヶ浦」駅 バス約30分、徒歩約18分。

知覧城跡、シラス台地に築城された南九州らしい山城

鹿児島県南九州市知覧町にあった知覧城は、南北朝時代に島津氏庶流の知覧氏によって築かれた山城です。シラス台地に築かれた南九州独特の様式を持つ城でしたが、江戸時代初期には廃城となりました。現在は空堀や土塁、曲輪跡などが残っています。

知覧城跡
知覧城の歴史
知覧城が築城された時期ははっきりとしませんが、平安時代末期には同地に城が作られていたようです。鎌倉時代には知覧氏が統治しており、南北朝時代の文和2年/正平8年(1353年)に足利尊氏が島津忠宗の三男・佐多忠光に知覧を与えています。
その後、知覧城は島津家の一門である佐多氏の本拠地となりましたが、11代当主・佐多久慶の際に原因不明の火災により焼失してしまい、城はそのまま廃城となりました。
やがて知覧は種子島久時や島津氏の直轄領となりましたが、慶長15年(1610年)に再び佐多氏の統治下に置かれるようになります。ただし、この際に城が再建されることはありませんでした。
近世には佐多氏私領の外城である「麓」として、知覧城の支城だった亀甲城の山麓に「知覧麓」が置かれました。麓は薩摩藩独自の統治システム「外城制度」の構成要素で、藩内の山城近くに武家屋敷群を整備するというものです。
薩摩藩は九州平定で領地が大幅に減りましたが、武士の数は減らなかったため、武士たちの住む場所が足りませんでした。このため武士を分散させて住まわせ、各地を守らせる外城制度が発足しました。江戸時代末期には120ヶ所の麓があったとされています。
現在知覧麓は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。さらに、「薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群「麓」を歩く~」として、知覧城跡とともに日本遺産に登録されています。
知覧城とは?
知覧城は規模は南北800m、東西400mで、南九州独自の直立した崖をなすシラス地形を利用して作られており、約40mの崖が城を守っていました。知覧城は早くに廃城になったことから南九州内で最も保存がよく、規模が大きい城跡です。城には12を超える曲輪があり、大きな谷を空堀として活用していました。
知覧城跡の見どころ①曲輪や空堀
知覧城は大きく分けて本丸、今城、蔵之城、弓場城の4つの曲輪群(主要城郭部分)と、それらを囲む東ノ栫・式部殿城など周辺の曲輪群から形成されています。本丸は南北70m、東西70mの曲輪で、他の曲輪との出入り口には虎口が設けられていました。
現在、城跡は整備され、説明版や案内板などが建てられています。蔵之城については平成の発掘調査で柱穴跡が発見されており、現在は23基の柱穴跡上に分かりやすいように杉の角材が設置されています。
曲輪の周辺には土塁や、雨水により形成された浸食谷を活用した幅広で深さのある空堀が残っています。堀の底は道路としても利用されていました。
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知覧城跡の見どころ②知覧ミュージアム(南九州市立博物館)
知覧城跡を訪れる前に立ち寄ってほしいのが「知覧ミュージアム(南九州市立博物館)」です。「交錯する文化の波」をテーマに知覧を含めた南薩摩の文化を紹介する資料館で、なかでも歴史展示室では知覧城を含む知覧の歴史を知ることができます。知覧城の分かりやすいジオラマがあるので、城攻めの前に見ておくと全体像がつかみやすくなります。
また、知覧城は続日本100名城にも選ばれており、ミュージアムの受付前にスタンプが設置されています。
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知覧城跡の見どころ③重要伝統的建造物群保存地区の「知覧麓」
知覧麓は武家屋敷が整然と並ぶ街並みが魅力的で、薩摩の小京都と呼ばれる知覧を代表する景観が楽しめる区域です。武家屋敷にはそれぞれ防衛のための石垣や生垣、切石の目隠しが設けられています。屋敷の一角にある庭園も見どころの一つで、一般公開している7つの庭園が国の名勝となっています。
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知覧城跡のフォトスポット
知覧城の主要城郭部分の遺構は撮影しておきたいところ。木々に覆われた空堀や土塁の跡は押さえておきたいスポットです。知覧城の本丸跡に建つ顕彰碑も合わせて撮影しましょう。江戸時代を感じられる知覧麓も必須のスポットです。
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栗本 奈央子
執筆者 栗本 奈央子(ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。