江戸幕府(2/2)最後の武家政権

江戸幕府

徳川家の家紋「三つ葵」

記事カテゴリ
藩史
藩名
江戸幕府(1603年〜1867年)
所属
東京都
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寛政の改革は当初は好意的に受け入れられましたが、あまりにも厳格すぎたため次第に批判が強くなり、ついに寛政5年(1793年)松平定信は罷免されます。その後、徳川家斉は側用人の水野忠成を勝手掛・老中首座に任命しますが、忠成はわいろ政治を復活させるなど私腹を肥やすのに積極的だったと言われています。

また、このころになるとアメリカやイギリスの船が日本沿岸にやってくるようになり、「異国船打ち払い令」が発布されます。これにより、防費支出が増大して幕府財政の破綻寸前となります。

貨幣の改鋳も行われましたが、かえって経済的な不安が増すばかりでした。家斉自身もこのころは怠惰な生活を送り、側近に取り立てた林忠英らが幕府の実権を握っていたため幕政の腐敗・綱紀の乱れなどが深刻になります。それに応えるように大塩平八郎の乱や生田万の乱がおこりました。徳川家斉は天保8年(1837年)、次男・家慶に将軍職を譲りますが実権は手放さず、69歳で死去しました。

12代将軍徳川家慶は老中の水野忠邦を徴用して天保の改革を行います。しかし、天保の改革は徹底的な奢侈の取締りと緊縮財政政策を採用し、さらに高野長英や渡辺崋山などの開明的な蘭学者を弾圧する蛮社の獄を行ったため、猛反発を受けて頓挫しました。

また、オランダ国王ウィレム2世の開国勧告を謝絶してもいます。この家慶の時代にぺリーが来航しますが、その対応に追われている中で死去しました。

13代将軍徳川家定は、家慶の4男にあたります。家慶は14男13女を儲けたが、成人まで生き残ったのは家定だけで、彼自身も病弱だったと伝えられています。将軍になった後は、嘉永7年(1854年)、マシュー・ペリーが7隻の艦隊を率いて再来日すると、幕府は同年3月3日(3月31日)日米和親条約に調印するなど、幕末の動乱が幕を開けます。もともと病弱であった家定の健康状態はさらに悪化し、世継ぎにも恵まれず幕政は混乱しました。そして最後に後継者として徳川家茂を指名して35歳で生涯を閉じます。

14代将軍徳川家茂は家定の従兄弟にあたる人物です。皇女和宮が降嫁した人物でもあり、天璋院篤姫が養母でもありました。本人は、幕末の動乱の中慶応2年(1866年)、第2次長州征伐の途上、家茂は大坂城で病に伏し、そのまま死亡しています。享年21歳(満20歳)若すぎる死でした。

15代、最後の将軍徳川慶喜は水戸藩主・徳川斉昭の七男です。また、将軍に在職中一度も江戸城に入らなかった唯一の将軍でもあります。

徳川慶喜は安政7年(1860年)に将軍後見職に就きます。彼はもともと12代将軍家慶の時代から続く将軍の世継ぎ問題に巻き込まれており、本人は将軍につく気がなかったという話も伝わっています。将軍になった後は開国に積極的で、本人は機内で政治を取り続けました。そして、横浜と神戸を開港するなどしましたがその強硬な開国の姿勢に幕臣たちとの摩擦が生じ、薩藩主導の討幕勢力の形成されます。このあたりの流れは映画やドラマ、小説などでも頻繁に描かれていますね。

慶応3年(1867年)徳川慶喜は明治天皇に大政奉還を申し出てそれが受け入れられ、260年以上続いた江戸幕府はここで幕を下ろしました。しかし、政治は相変わらず安定せず、よく明治元年(1868年)には、は薩摩・土佐・安芸・尾張・越前の5藩が政変を起こして朝廷を掌握し、慶喜を排除しての新政府樹立を宣言します。

その年の12月、戊辰戦争が起こり徳川慶喜は参戦したものの大阪から江戸へ退却し、幕府軍は鳥羽・伏見の戦いを皮切りに敗北に敗北を喫します。そして新政府軍は江戸城を取り囲みますが、幕府代表の勝海舟と新政府軍代表の西郷隆盛の会談が行われた結果、江戸城は無血開城され徳川幕府は翌明治2年(1969年)に正式に消滅しました。

徳川慶喜はいったん水戸で謹慎して沙汰を待ちましたが、勝海舟や大久保一翁ら旧臣が三条実美や大久保利通など政府高官に働きかけた結果、謹慎を解かれて静岡に移りすみます。明治4年(1871年)徳川慶喜は上京し、明治21年(1881年)には従一位に任ぜられ、公爵にもなっています。

将軍を退いた徳川慶喜は趣味に没頭し、コーヒーを飲んだりサイクリングを楽しんだりわりと自由に余生を楽しみ、大正2年に没しました。

徳川幕府まとめ

徳川幕府は15代将軍が260年にわたって納めた最後の武家政権です。
今もなおこの時代は小説や映画、ドラマに描かれ、私たちは気軽にその時代の空気に触れることもできます。
なお、徳川家は今もなお存続し、一族は文化財保護などの活動に尽力しています。

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AYAME
執筆者 (ライター) 江戸時代を中心とした歴史大好きライターです。 趣味は史跡と寺社仏閣巡り、そして歴史小説の読書。 気になった場所があればどこにでも飛んでいきます。 最近は刀剣乱舞のヒットのおかげで刀剣の展示会が増えたことを密かに喜んでいます。
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