浅草浅草から押上・スカイツリーを散歩【前編】

和さんぽ
和さんぽとは 「和と人の交流ちとせ」の剣士が各地をお散歩する企画です。各地の名所、名跡、スポット、食事処などご紹介します。

日本の旅侍×「和と人の交流ちとせ」の企画「和さんぽ」。第三回・第四回は引き続き役者で殺陣の講師も務める島田勇矢さんと、浅草やスカイツリー周辺を巡りました。第三回の今回は浅草について紹介します。

江戸時代の情緒を残す浅草エリア

東京都台東区浅草は国内外で有名な観光スポットです。浅草寺と参道の仲見世商店街を中心に江戸の下町情緒があふれるエリアは和装での散策にぴったり。着物レンタル店も多くあります。

浅草は江戸時代から続く繁華街で、なかでも浅草奥山エリアには見世物小屋がたくさんありました。江戸末期には「浅草花やしき」(当時は植物園「花屋敷」)が開園。現在は日本最古のローラーコースターを体験できる遊園地として人気です。

明治時代に見世物小屋が浅草公園六区(浅草六区)に移転した後は、浅草六区が芸能の中心地に。現在は浅草奥山に大衆演劇が楽しめる「木馬館大衆劇場」、浅草六区に芸人たちが漫才から曲芸までさまざまないろもの寄席を繰り広げる「浅草フランス座演芸場東洋館」があり、多くの人々が訪れています。

舞台衣装から浴衣まで 老舗の名店 やまとみ呉服店

今回島田さんの希望で散策前に立ち寄ったのが「やまとみ呉服店」。伝法院通りの一角にある、1973年から続く老舗呉服店です。舞台衣装や浴衣、扇子をはじめとした和装小物まで、個性豊かな独自商品を数多くそろえており、反物からのオーダーメイドも可能。特に踊りや大衆演劇の衣装には定評があります。また、男性用の着物も多く扱っていますよ。

文化勲章も授与された店主さんはとっても気さく。知識が豊富なので何を相談してもすぐに「これは?」とおすすめの着物を見せてくれます。今回も子持縞(こもちじま)に波に千鳥、千成瓢箪柄をはじめ、さまざまな着物をご紹介いただきました。

島田さんは「明るい色目の着物」を相談し、悩んだ末、無事に購入しました。「新しい感じで気に入っている」とのこと。じっくり選んだ一枚は忘れられない思い出になることでしょう。

浅草寺と雷門

浅草のシンボルといえば「金龍山浅草寺」、通称「浅草寺」と「雷門」です。浅草寺は東京都最古の寺で、創建は推古天皇36年(628年)。漁師の兄弟が川の中から発見した聖観世音菩薩像を祀ったのが始まりです。平安時代以降は宗教的な聖地として発展し、源頼朝や足利尊氏、北条氏綱に徳川家康など、さまざまな武将たちが訪れました。幾度となく火事などの災害に見舞われましたがそのたびに再建され、現在は国内外から年間約3000万人が訪れる人気スポットです。

そんな浅草寺の総門が雷門です。正式名称は「風雷神門」で、左右に風神・雷神が安置されています。創建年代は不明ですが、天慶5年(942)に平安時代の武将・平公雅が堂塔伽藍を一新した際、駒形に門を建てたのが始まりのようです。現在の場所に移ったのは鎌倉時代以降で、その後何度も焼失と再建を繰り返しました。

現在のものは1960年に松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助氏の寄進により、再建されたものです。「雷門」と書かれた巨大な大提灯は高さ3.9m、幅3.3m、重さ700kg。大提灯は1800年ころからつるされ始めましたが、松下氏が寄進した際に「雷門」の文字が書かれました。今のものは6代目にあたります。

底部分の龍の彫刻は初代から引き継がれたもので、さわると幸運が訪れる、スマホの待ち受けにするとお金が貯まる、などと言われています。

仲見世通りのそぞろ歩きを楽しむ

雷門から山門の宝蔵門まで続く商店街が「浅草仲見世商店街」です。元禄期から享保期(1688年~1736年)頃に成立した商店街で、浅草寺境内を掃除していた人々に境内や参道上に出店する特権が与えられたのが始まりでした。

現在は長さ約250mに約90店舗のお土産物屋や飲食店などが軒を連ねています。赤い提灯に電飾看板、小さなお店にずらりと並ぶ土産物やお菓子などを横目にのんびり散策するのがおすすめです。

浅草寺本堂にお参り

朱色の宝蔵門をくぐると見えてくるのが大きな本堂です。ただし、本堂に進む前に、まずは本堂前右側にあるお水舎で身を清めましょう。手水鉢の龍の口から出た水で両手を洗い、口をすすぎ清めます。ちなみにこの手水鉢の上にある龍神像は高村光雲作のものです。

続いて本堂の前にある常香炉で煙を浴びて穢れや邪気を払います。「煙を浴びると体の悪いところが良くなる」という言い伝えがあるので、いつも多くの人が煙を浴びているスポットです。

そしていよいよご本尊の聖観世音菩薩を祀る本堂に進みます。こちらも何度も被災と再建を繰り返しており、現在のものは1958年に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建されたものです。本堂には高さ4.5m、幅3.5m、重さ約600kgの大提灯があり、「志ん橋」の文字が描かれています。これは1958年から新橋花柳界による「東京新橋組合」が奉納し続けているもの。現在は2020年に9回目に奉納したもので、料理茶屋、芸者の名前が記されています。

御堂の内部は内陣と外陣に分かれています。外陣もポイントは天井にある川端龍子画の「龍之図」堂本印象画の「天人之図」「散華之図」。色鮮やかな美しい絵はついつい見入ってしまって首が痛くなるほどです。内陣中央には御宮殿があり、秘仏であるご本尊の聖観世音菩薩が納められた厨子や、御前立(秘仏の身代わり)の聖観世音菩薩が安置されています。敷居が高そうなイメージですが、内陣にも上がれるので、ぜひ参拝してみてくださいね。

浅草を食べ歩く!

浅草といえば食べ歩きのメッカ!とはいえ実際に食べ「歩く」のはマナー違反で、お店の周辺のスペースや、境内のベンチなど飲食可能な場所で食べる形にはなりますが、とにかく持ち運べる軽食がたくさんあるんです。

和さんぽでももちろん食べ歩きにチャレンジ。まずは雷門のすぐ隣にある「常盤堂 雷おこし本舗 雷門本店」へ。江戸時代後期から続く浅草名物・雷おこしの名店です。

米や小麦粉などを蒸して焙煎して作る「おこし種」を水あめや砂糖などを加えて固めたお菓子で、常盤堂 雷おこし本舗のベーシックなものは落花生が入ったもの。抹茶や海苔味、落花生の代わりにメープルシロップ&ココナッツが入ったものまで、さまざまな種類があります。昔からある固めのおこしと、サクッと柔らかめのおこしの2種類があるのが特徴です。

本店ではなんと実演販売をおこない、出来立てのおこしを販売しています。さらに本店限定商品として実演職人さん手作りの「刀おこし」(黒糖味)も用意。国内外の観光客から人気の一品です。

続いては伝法院通りの行列ができる有名店「浅草メンチ」へ。「浅草の新名物」としてアピールしているメンチカツで、数々のメディアで取り上げられています。神奈川県のブランド豚「高座豚」と黒毛和牛をブレンドした肉汁たっぷりの甘みのある肉だねを包むのは、生パン粉を使用したサクサクの衣!揚げたてを食べられるのもポイントです。島田さんも一口食べて「熱っ、甘っ、肉汁がすごい!」とびっくり。暑い夏でもペロっと食べられる一品です。

とはいえ蒸し暑い夏…というわけで涼しいものを求めて、同じく伝法院通りにある苺関連のセレクトショップ「苺座堂」へ。ここの「苺のスムージー」はなんと凍らせた苺が16個分入っていて、まさに飲む苺!国産和紅茶のさわやかな味が楽しめる「和紅茶」、ミルクの甘みが苺にマッチした「ミルク」、コクのある「甘酒」とそれぞれ特徴のある味わいで、暑い夏にはぴったりです。

天丼の老舗「大黒屋」

浅草には長年愛され続けている老舗の名店がたくさんありますが、今回は創業1887年の老舗「大黒家天麩羅」をセレクト。どこか懐かしい、昭和の時代を思わせるレトロな雰囲気の店内で、看板商品の天丼をいただきました。

ごま油だけを使って揚げられたきつね色の天ぷらと、秘伝の甘辛く濃厚なたれは最高のコラボ。島田さんも「ばかうまい。たれがごはんと絡んでてて、丼というより全てが完成されたものという感じ」と大絶賛していました。

【今回の散歩コース】
やまとみ呉服店→雷門→浅草寺→仲見世通りと食べ歩き→大黒屋
【今回訪れたスポット】
「やまとみ呉服店」東京都台東区浅草1-37-8
「浅草寺」東京都台東区浅草2-3-1
「仲見世商店街」東京都台東区浅草1-36-3
「大黒屋」東京都台東区浅草1-38-10
島田勇矢
出演 島田勇矢(役者、殺陣) 役者。大阪府出身。特技は殺陣。剣道2段・弓道2段。
「アバランチ(フジテレビ)」「真犯人フラグ(日本テレビ)」「警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜(テレビ東京)」など映像出点多数。舞台「生贄姫-黄泉比良坂 -(Samurai Sword Performance Team)」をはじめ舞台出演も多数。
浅草
記事カテゴリ
和さんぽ
関連する城・寺・神社

浅草寺

栗本奈央子
執筆者 (ライター) 元旅行業界誌の記者です。子供のころから日本史・世界史問わず歴史が大好き。普段から寺社仏閣、特に神社巡りを楽しんでおり、歴史上の人物をテーマにした「聖地巡礼」をよくしています。好きな武将は石田三成、好きなお城は熊本城、好きなお城跡は萩城。合戦城跡や城跡の石垣を見ると心がときめきます。
日本の城フォトコンテスト.03